師走の23日、初めて中山競馬場で有馬記念を観る。
このレースは、有馬頼義先生ご存命の頃から幾度か誘われたが、あまり興味がなかったので行ったことがなかった。
ちなみに有馬記念というレースは、先生のお父様、有馬頼寧氏がかつて農林大臣で、中央競馬会の会長をされたことから、この名前が付けられたとか。
今回はたまたま先生のご子息の、頼央さんに誘われて、一度見てみようかと思って出かけたのである。
だが行ってみると、聞きしに勝る素晴らしさ。
有馬家専用の貴賓室も豪華だが、そこから見下ろす競馬場の美しさ、そして10万余りの観衆のざわめきとウェィブのように押し寄せてくる歓声など、クラッシックレース独特の熱気を堪能。
馬券はなにもわからないまま、武豊が騎乗するメイショウサムソンを頭に流して買ったら惨敗。マツリダゴッホという、誰一人本命に挙げていない馬が優勝したのだから当然かも。
とにかく、東京に来て初めて競馬場に出かけたのだから無理もない。
以前、といっても40年近く前だが、札幌の大学病院にいた頃、札幌競馬場の医務室にアルバイトに行ったことがある。
しかし落馬のような怪我人は無く、退屈なまま、「この馬は、きません」などと裏情報をきいたこともあって、競馬、競輪に興味を失ったまま、馬券を買うこともなかった。
というより、わたし自身、賭け事にはほとんど興味がなく、せいぜい麻雀で賭けたことがあるくらい。あとは囲碁、将棋といった、賭とは無縁のゲームが好きだったこともあるけれど。
振り返ってみると、わたしにとって、自分の本を出すことが最大の賭けだったのかもしれない。
それを毎年くり返すうちに、冒険心はそちらに吸いとられたというのが本音。
それはともかく、今回で重賞レースの華やかさと面白さがわかったので、これからときどき行ってみようと思っている。
師走も迫って、忙しさとともに気持ちも落着かない。
それというのも、22、23、24日と、3連休が続くからである。
おかげで、この前の20日前後までに、正月原稿のすべてを入稿しなければならない。
くわえて12月は、文壇関係のパーティーや出版社との会食、さらには各種忘年会などがくわわって、夜はほとんど外出。
もう1週間も経つと、少しは落着くのだが。
しかし、正月は2日から徳島に。風邪もひかず良く動くと自分でも呆れている。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。