おかげで、「鈍感力」は多くの方に読まれているが、この言葉をときに誤って使っている人がいるようである。
たとえば先日、あるラジオを聴いていたら、職場で敏感な人と鈍感な人と、どちらの方がいいか、という話になっていた。
そこで調べた結果、「やはり敏感な人のほうがいい」という意見が全体の7割近くに達したのに対して、「敏感すぎるより、暢んびり鈍感な人のほうがいい」という人が3割近くいたとか。
この統計、本来の鈍感力とは何の関係もない。
この本でわたしが言いたかったことは、社会で失敗したり、いやなことが、あってもすぐに忘れて、明るく前向きに進んでいける」そういう力を鈍感力というので、単なる「無神経で鈍い」のとはまったく異なる。同様に身体も少し寒いとか、やや食べすぎたくらいで、風邪をひいたり下痢をするようでは困るということで、もっと鈍い身体になるべきだ、という意味である。
改めて記すが、鈍感力と鈍感とはまったく別のものである。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。