昨日、「愛の流刑地」の完成披露試写会が六本木ヒルズでおこなわれた。
その前、記者発表や数回のインタビュー、対談などに追われた。
肝心の映画はその2日前に東宝本社で見せてもらったが、よくできている。
これまで、映画化、テレビ化された、わたしの原作は30本をこすが、そのなかでもっとも優れている。
冒頭から激しいセックスシーンが続くが、これが美しく、ときに幻想的である。
さらに、わたしが小説に込めたテーマが全編によく表されていて、重く深い作品になっている。
後半から終わりにかけて、わたしは思わず泣いたが、それは、いわゆるはらはらどきどきの、俗な涙ではない。
人間が本来秘めている欲望や執着など、いわゆる業と倫理との葛藤から滲み出る切なさである。
これだけの作品をつくってくれた鶴橋監督、そして出演者のみなさんに感謝したい。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。