いま産経新聞に連載している「あじさい日記」は、浮気をしている夫が妻の秘密の日記帳を発見するところからはじまる。それを読んだ夫の慌てぶりはある程度書けるが、日記を書く妻の気持ちになりきるのが難しい。
こんなとき、妻はどういう夫の仕草から怪しいと感じ、どんな行動をとるのか。その各々について、自分が女になったつもりで書かなければならない。
しかしわたし自身、男そのものだから、女になるのは難しい。
そこで女の人の意見、とくに夫の浮気に怒り、悩み、仕返しを考えている人妻の意見をきいてみたい。
それがわかると、小説はよりたしかなリアリティーをもちうるのだが。
男女の小説を書いていて、いつも思うことは、これで本当の女性を書けているのか、という疑問である。
たまたま、「これだけ違う男と女」という本を、中央公論社から出したばかりなので、なにか皮肉なめぐり合わせである。
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北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。