さまざまなインタビューや対談の度に写真を撮られる。
もちろんこれらは、それぞれの記事とともに誌面にのるのだが、この写真を撮られるのが結構つかれる。
総じて写真は意識せず自然体に写したものがいいのだが、素人のかなしさ、実際はなかなかうまくいかない。
わたしの場合、話している最中にカメラマンが自由に撮った写真のほうが生き生きとしていいのだが、ときに「真直ぐカメラに目線を下さい」などといわれると、たちまち緊張してつまらない写真になる。
このことをある女優さんに話すと、「カメラの向こうに、好きな人がいると思って見詰めるのよ」と教えてくれた。
なるほど、彼女はいつもそう思ってやわらかい表情をつくるのか。
そこで、いわれたとおりやってみたが、カメラの向こうに好きな女性が見えるわけもなく、かえって、なにかを探るような奇妙な顔になってしまった。
やはり、彼女ほどのナルシズムが足りなかったのか。
ともかく、わたしが多少、自信があるのは笑顔である。
「笑ってください」といわれると、比較的簡単に笑顔をつくれる。むろんそのためには、これまでの可笑しかったことなどを思い出すか、カメラの向こうに面白い人がいると、さらにやりやすいけど。
それにしても、何枚撮ってもいい写真ができないときもあるし、簡単に数枚撮っただけで、すぐオーケーになることもある。
してみると、カメラマンの才能の問題もあるのかと思うが、やっぱり自分の顔は自分の責任、ということに落ち着きそうである。
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北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。