長年、書きためていた、「みんな大変」を、ようやく本にすることができた。
この本、かつてアフリカのサファリーに行ったことがきっかけで書きはじめた、動物たちの物語である。
ここには、ライオン、ヒョウ、トラ、ハイエナなどの肉食獣、さらにゾウ、キリン、ガゼル、ヌーなどの草食動物などが登場するがいずれも、生きていくのは大変なのである。
ライオンなぞ一見、百獣の王で、気楽だと思われがちだが、そんなことはない。
彼等が大好物のガゼルは逃げ足が早く、容易につかまえることができない。それじゃあ、足ののろいゾウでも襲(おそ)ったら、と思うが、これは皮が硬いうえに肉もまずくて、とても食べる気にはなれない。
要するに、美味しいものは逃げ足が早いのである。
さらに、オスもメスも大変で、どんなオスも強くなければメスと関係することができない。
このようにみんな大変だから、特定の動物だけ数が増えず、バランスが保たれているのである。
それに比べて人間は、と振り返ると、いろいろ考えさせられ、反省させられることが多い。
とにかく、動物もわれわれも、生きとし生けるもの、みな大変なのである。
でもみんな、元気で生きている。
この本が、前向きに生きている人はもちろん、くじけがけている人、辛い立場にいると思いこんでいる人々も含めて、みなの励みとなり、生きていく糧(かて)となるといいのだが。

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北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。