17日夜、東京駅前丸の内ビルの「丸善」で「みんな大変の」サイン会をする。
ここは1年半前、このビルが出来たときに、「幻覚」のサイン会をしたところでもある。
会場は2階の入り口に面した通路の前。
定刻の6時半に行くと、すでに多くの人が待っていてくれる。
サイン会ではいつも、表紙のあとの見開きに読者の名前を記し、その左手に1段下げてわたしの名前を書いて、落款を押す。サインはすべて筆で書くのでやや疲れるが、せっかく来てくれたお客さんが喜んでくれるので、以前からこのようにしている。
もちろんお客さんの名前は楷書で書くが、自分の名前は書きなれた草書で書く。2年前、それを見て、「なんとかいたのですか」ときいた人がいて、面食らったことがあるけれど。
店で配られた整理券には、「著者への一言」という欄があり、いろいろ書いてくれる人もいるので、サインしながら、それについて話すこともある。
さらに書き終わったあと、握手をするが、なかには写真を希望される人もいるので、一緒に写真を撮ることもある。
本を1人で2,3冊買われる方もいるが、なかに他の本までたくさん持ってきて、すべてにサインして欲しい、という人もいる。
こういう場合は、他のお客さんが待っているので、2冊までにお願いしている。
以前は女性のお客さんのほうがやや多かったが、最近は男女ほぼ同数のことが多い。年齢別的にも、80代の方から高校生までと、いろいろな方が来てくれて嬉しい。
なかに、「母がファンなので」とか、「父に頼まれて」といって、ご両親の名前を書いて欲しい、という人もいる。
ところで先日、ある女子高生に、「祖母がファンで…」といわれて驚いた。
「おばあさんによろしくね」といっておいたが、長い間作家生活を続けていると、いろいろなことがあるものである。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。