私は、作家の中でも特に手直しの多い作家と言われているらしい。
実際、ある編集者から「気合の入った校正、ありがとうございました。」と皮肉を言われたこともある。
いずれにせよ、最初の原稿がより完成されたものであれば、校正はあまり必要ないのだけれども、アイディアが決まるとそのまま一気に書き出すので、完全な文章にならないのである。
始めから熟考したうえで文章を書き出す人もいるし、私のように思い出したら一気に、ともかく書いて、それを何度も推敲する作家もいる。
どちらがいいかはともかく、私は後者のやり方で40年もやってきたので、今更かえられないのである。
今の新聞連載小説も一回分を、最低4、5回は書き直す。
おかげで、事務所のデスクはおおわらわ。
特に、愛ルケは今月で終わる予定で、今、最後の原稿にさしかかっているため、さらに、書き直しが多く、デスクは悲鳴をあげている。 ごめんなさい!!
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。