晩秋の川奈に行って、ゴルフを楽しむ。
川奈ホテルの部屋の窓から見下ろす風景は、十一月の末だというのに、青い海を前に明るく穏やか。
広い庭とプールの先の樹々の茂みが、茶褐色に色づいているが、そのなかに一本だけ白く小さな花を咲かせた樹がある。
名前をきくと桜で、十月桜という種類だとか。
このあと、一月末から緋寒桜が咲きはじめ、四月の八重桜まで、桜が絶えることはないとか。
さすが、暖流に洗われる南伊豆、と感嘆するが、こんなに桜が咲き続けてもいいのだろうか。
桜は年に一度、数日、満開の美しさを見せて儚く散るから、一層美しく愛惜もつのるというものだけど。
あたたかすぎる川奈に、ちょっと意地悪をいってみたくなる。

photo by Junichi Watanabe
十一月十二日、新武蔵丘ゴルフコースで女優杯のコンペに出席、久しぶりにゴルフを楽しみました。
スコアは相変わらず、最悪。
それより、終わってから懇親会をクラブのコンペルームでおこないましたが、その入り口に「女優杯さま」と立札が出ているので、その前を通りすがりに、部屋の中を覗いていく人が絶えません。
しかし、この会に女優さんはいません。いまから二十三年前、かつての新劇の最初の女優、松井須磨子の生涯を書いた小説を集英社から出版したのがきっかけで、当時の若菜専務の肝入りで始まったコンペで、今回で四十二回目です。
要するに、その本の題名から付けられた名称ですが、知らない人は、女優さんが沢山きているのだろうと、錯覚するようです。
だが、残念ながら、写真のように、ほとんどが集英社の会長以下、男性ばかり。わずかに銀座のクラブ「グレ」のママがくわわっているだけです。
いつからか、女優杯というのに、女性が一人もいなくては淋しい、ということで参加するようになったのですが、正直いってひとりではやっぱり淋しい?
でも今回はこのママが優勝して大喜び。「グレ」一組さま、無料御招待券が出されることになりました。ちなみに一組の人数は適当に、ということです。
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いま、世間を騒がせている、女子高校生による母親傷害事件。
この女性の心理について、いろいろな識者がいろいろな意見をいっているが、わたしの判定は、「薬物フェチ」
さまざまな薬物を見ていると、次第にその薬物の魔力に惹きつけられ、それを体験し、さらにはまわりの小動物や、はては人間にまでつかってみたくなる。
この女子高生はこの薬物の妖しい魅力にとり憑かれて、お母さんまで実験材料にしてしまった。お母さんに特別の憎しみや怒りをもってないのはそのためで、ただ薬の効果を見たかっただけと思われる。
かつて医師だった頃、いろいろな劇薬や強力な毒性をもった菌などを眺めて、そんな誘惑にとらわれたことがあるので、そう推測するのだけど。
とにかく、おたく秀才ほど陰気で怖いものはない。
昨日、編集者の有志の人と、着物を着る会を、向島の「大漁」という、ふぐ店でする。そのあと、向島の料亭で芸者さんを呼んで楽しむ。
じつは、「銀座に行こう」という声もあったのだが、これでは目立ちすぎるので、ほどほどのところでお開きとする。
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、母校の整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年「光と影」で直木賞を受賞。 1980年に吉川英治文学賞を、2003年には菊池寛賞などを受賞する。